ビュンビュンと過ぎ去る外の景色を眺めていると、時折車内販売が来る。弁当、お土産、飲み物が主体で、背もたれのポケットには販売している食品のメニューもあった。
しかしこれは私の感覚だが、総じて高い。そのせいかどうかは分からないが、それほど売れている感じはしない。ただし全く買う人がいないわけではない。
長野で停車後、車内アナウンスが入り、「全席指定なのでデッキでの乗車も不可」と結構厳しい。さらに「通常の特急券ではグランクラス、グリーン車への立ち入りも禁止」となっている。
まあお金持ちの目の前の通路を、我々一般庶民がうろうろするのも問題だろうという気もするが、少々ヒステリックなアナウンスに聞こえた。
長野を過ぎてしばらくして、そろそろ上越かなと思っていたら、いつの間にか右側遠くに海が見えていた。
途中通過駅があって、その駅名を読もうとするのだが、列車が早すぎて全く読めない。しょうがないので、三列席越しに遠くの海を眺めていたが、空が曇りのせいか、海の色も緑茶色で美しくない。
しかも富山に近づくにつれ、親知らず子知らずの山道を通過するので、トンネルばかりになり、結局景色を眺めるのはあきらめて読書。
13時ごろ富山着。そして13時20分無事金沢到着。しかし到着が早すぎて、場合によっては日帰りも可能だなと感じたものの、その分旅行をしているという実感が失われた。
ちなみに私は今から50〜60年ぐらい前、両親に連れられて通常の列車で上野〜金沢を往復したことが何回かある。
両親はもともと石川県出身なので、両親の里帰りということだったのだと思う。当時は列車の窓も自由に開き、駅弁の販売が窓越しに行われ、遠いなあとつくづく思ったが、それが逆に妙に印象に残っている。
このころは陶器に入ったお茶や、かちんかちんに凍り付いたミカンが販売されていた。そのミカンが少し溶けるのを待って食べたものだが、その記憶は鮮明だ。
しかし今は豪華な幕の内弁当を食べたとしても記憶に残らないような気がする。子供時代の記憶だからかもしれないが、列車の中で駅弁を買って食べるという行為そのものが、日常生活とかけ離れていたせいかもしれない。
さて記録を調べてみたら、私は2014年に車で一度墓参りに来ていたので、今回は3年ぶりの旅行だったことが分かった。当時、金沢駅構内に新幹線ホームはなかったが、あちこちで工事が行われていた。
また駅1階にはすでに百番街というお土産やレストランが集まった場所ができていて、当時からにぎわっていた。
というわけで新幹線を降りて、お昼はその中のどこかの店で食べようと思い、改札を出て重たい旅行バッグを持ったまま駅構内を少しうろついてみた。
しかし新幹線駅ができた関係で百番街入り口が以前の記憶と違っていて、方向感覚が失われたまま構内をウロウロすることに。
ようやく見つけた百番街入り口は、北陸新幹線が開通したせいか、想像以上に観光客で混雑。それぞれのレストランの入り口付近には椅子が置かれ、そこに入店待ちの観光客が多数待機していた。
待つことが嫌いな私は、昼食時間をかなり過ぎていたので、結局入り口近くの立ち食いソバ屋さん(白山そば)で白エビのかき揚げそば570円を食べることにした。
おいしいものを食べるぞと意気込んでいた割には情けない昼食となり、がっくり。ちなみに味は白エビの味が良かったものの、そばそのものや汁はごく普通の立ち食いソバの味で、それほどうまいというわけでもなかった。
食べ終わって、宿泊するホテルの場所を確認。ドーミーインはこのモールのすぐそばにあることが分かり、ならばと思いタリーズコーヒーに入り、チェックイン時刻の3時までアイスコーヒーで休憩待機。
15時05分にホテル内に入るとチェックインは大混雑。しかしホテル係員さんも10人ぐらい待機していて、そこそこ手際が良いのでストレスは感じない。
係員のお姉さんの口調にわずかなアクセントの違いを感じ、名札を見ると日本人ではなさそう。しかし受け答えは完璧。中国系観光客への対応かなと感じた。